職員紹介2022 / 10 / 20

うまく伝わらなかったら、方向転換!

下崎風花さん 「成長」を支える。

南高愛隣会には、発達障がいのある方を対象に2年間のカリキュラムで一般企業への就職に向けた職業訓練を行う、長崎能力開発センターポステック科という事業所があります。長崎能力開発センターポステック科の所長補佐として、日々、訓練生への指導や助言を行っている下崎風花さんにお話を伺いました。

 

―大学での学部・専攻と、その学ばれてきた専門分野が、どのように今のお仕事に活かされていると感じますか。

もともと部活で後輩の相談に乗ることが好きで、大学では心理学を専攻しました。授業では、カウンセラー役と、相談役のロールプレイングなどを行っていました。そこでの一番の学びは、「沈黙」を大事にするということです。沈黙は、怖いと感じるかもしれませんが、それは、何かを考えている時間でもあり、相手に言葉を求めている時間でもあります。

今、訓練生と面談をする機会が多いですが、沈黙があっても、相手の声に耳を傾け、本人さんの言葉や発信を待つことを意識して取り組んでいます。

 

―1日のスケジュールを教えてください。

9時から16時半までは、訓練に参加しています。例えば、ビジネスマナーや、働くうえで大切なことを学ぶ座学や、よりよいコミュニケーションの練習をするSST(ソーシャルスキルトレーニング)、法人内や周辺の企業様からの委託作業、素麺などの販売演習です。16時半以降は、一日の記録や、次回の授業内容を考える事務作業をしています。

現在は1年生を担当していますが、来年、2年生の担当になると、実習先や面接先の企業に付き添います。

 

―南高愛隣会でのこれまでのキャリアを教えてください。

入社1年目は、長崎能力開発センターで、2年目からはグループホームを4年経験しました。グループホームでは、訓練生が能開を卒業した後、どんな仕事をして、どんな暮らしを送っているのか、人生の流れを見ることができたので、とても良い経験だったと思います。だからこそ、今、訓練生に何を教えたらいいのか、強弱をつけて考えるようになりました。例えば、今担当している1年生は一般企業への就職に向けて、必要なスキルや、ビジネスマナーを勉強していますが、それだけでなく、挨拶や近所付き合いなど、長い目で見て、地域で生活するために必要なスキルをつけさせることができたらと思います。

 

―長崎能力開発センターでのお仕事の魅力や特にやりがいを感じるときはどんな時ですか。

人に何かを教えることが好きな性格なので、訓練生の成長を見届けるのが楽しいです。

訓練を通して訓練生と一緒に活動し、一緒に成長できることにやりがいを感じます。

最初は発達障がいのある訓練生と接する上で、意図が伝わらず、何でわかってくれないんだろう、と悩むこともありました。しかし、何で、ではなく「こう言う言い方をしたから、こう伝わったのか」と、自分を振り返り、改めて伝え方を工夫すると、きちんと伝わることに気づきました。「うまく伝わらなかったら方向転換する」ことを大切にしたいです。

 

―お仕事が大変と感じるときは、どんな時ですか。また、そうした時、どのように対処していますか。

難しいとは感じますが、あまり大変だと感じることはありません。もともと、「何でこの人は、こういう行動を取ったのだろう」と、考えたり、自分の言動が他者からどう見られているのか、日々振り返ったりすることが好きな性格なので、きついことがあっても、工夫した結果、相手に思いが伝わると、達成感があります。

そういう意味では、この発達障がいの方と関わる仕事に向いていると思います。

 

―今後の目標や、これから取り組みたいこと、こんな支援ができたらいいな、と思うことがありましたら教えてください。

現在、1年生を担当していますが、来年、彼らが一般企業に就職できるように支えていきたいと思います。

また、発達障がい者への支援を広めていくことも大きな目標です。南高愛隣会には、知的障がいのある利用者さんが多く、発達障がいのある利用者さんへの支援にはまだまだ慣れていない方が多いのが現状です。「発達障がいについては、下崎さんに聞こう」と周囲から思ってもらえる存在になりたいです。

グループホームで勤務していた頃、世話人さんと関わる機会が多くありましたが、今でも人とのつながりを大切にしています。「○○(利用者)さん、こういうことがあったけど、どうしよう」という何気ない会話から、一緒に支援につながるヒントを探ります。今、所長補佐としての立場ですが、現場の職員と、役職者の間をつなぐような役割を果たせたらと思います。

 

―一緒に働きたいと思う人物像を教えてください。

こういうことをしたい、という気持ちを持つことも大切ですが、「そんな考えもあったのか」と、何に対しても貪欲に学び、吸収していくことができる人が良いと思います。

 

―学生へのメッセージをお願いします。

大学で学んだことや得意なことは、必ず自分の強みになるので、自信を持って活かしてほしいと思います。私自身、子どもが好きなので保育士になりたい気持ちもありましたが、大学での学びを経て障がい児支援に興味を持ちました。入社当時は保育士の資格を持っていなかったため障がい児に関わる仕事はできていませんが、働く中で「教える」ということにやりがいを感じ、自分の強みを活かして自分の好きな仕事ができています。