私たちの話2022 / 08 / 04

研修日記 障がい児支援 (PARKさくら)・就労支援 (WORKしまばら)

~「子どもたちがかわいい」~

7月27日、PARKさくら研修。

PARKさくらは、島原地区 の拠点「LOCAL STATION LISE(ローカルステーションライズ)」の2階にある、放課後等デイサービスの事業所。

LISEは通りに面していて、南高愛隣会の各拠点の建物の中で最も、人目に付きやすい。そのためか、玄関がとても広く、通りすがりの人でも、自然と中の様子が目に入る。

 

玄関を抜け、2階に行く階段を上っている途中から、すでに子どもたちの元気な声が聞こえてくる。

さくらでは、小学校低学年から高校3年までの児童、生徒が利用。普段は放課後の時間のみとなっているけれど、今は夏休みのため、一日中(朝から夕方まで)ここで過ごしている。

部屋に入るとすぐに耳に入ってきたのが、小さい子向けの軽快な曲調の音楽。

「ウー、ワーオ!」
小・中学生くらいの年の利用者さんたちが、画用紙と折り紙で作った、手作りのカラフルなマイクを持ちながら、体を揺らして元気よく踊っている。
「はい、みんな座って聞いてください」
職員が午前の活動の説明を始める。
「今から模造紙に絵を描きます」。
お絵描きの時間が始まっても、なかなか描き出そうとしなかった利用者さん。
最初、細い色鉛筆を渡すと、あまり気に入らなかったのか、すぐに床に放り飛ばしてしまう。
今度は握りやすい太いクーピーを渡してみた。
すると少し興味を持ったのか、クーピーを何度か手で弄んだあと、ぐるぐると線を描く。

一方で、高校3年生の利用者さんは真剣な表情で手を動かし続ける。
使っているのは、百均に売っているような、色々な大きさの○を描けるお絵描きグッズ。

惑星のような絵を描き、「すごい、上手い!」と職員からも褒められていた。

 

お昼になってすぐ、利用者さんに
つんつん、と袖を引っ張られた。
「トランプしよう?」
声をかけてもらえたことがすごく嬉しくて、さっそく3人で神経衰弱を始めた。
たくさんのカードが並べられている中、いとも簡単に同じカードを選び取る利用者さん。
結局、利用者さん2人がたくさん取り、私が取れたのは彼らの半分ほど。
トランプが終わると、DVDを見たり、トランポリンで運動したり。
あっという間に帰る時間が近づき、皆で部屋の掃除。
ゴミ箱からゴミ袋を取り外そうとした利用者さんがいた。
「○○さん違うよ、それはまだ取りません。」職員が利用者さんに駆け寄る。
別のゴミ袋からもゴミを入れた後で、回収することになっているからだ。
一方で、トイレ掃除を終えた利用者さんには、「ありがとう! ○○さんのおかげできれいにピカピカになりました」と、利用者さんの目をしっかり見ながら褒める。
褒められた利用者さんもとても嬉しそう。
利用者さんと接するときには、できるだけわかりやすく、短い言葉で伝えるように心がけている、と語る職員。
例えば、いけないことをしたら、「これ違うでしょ」、頑張っていたら、「よくできました」など。
しかし、
「短い言葉で言うと、厳しく聞こえてしまって。」
支援との境目が難しく、悩みながらも、子どもの利用者さんにとって、理解しやすい言葉を探している。
帰りの時間になった。
職員は利用者さんと一緒に階段を下り、保護者が迎えに来るまで、玄関で付き添う。
玄関前の椅子に座ったり、壁で逆立ちをして時間を潰している利用者さんを見守る職員。
南高愛隣会に入りたいと思ったのは、施設見学に行ったときに、「子どもたちがかわいい!」と思ったから。
もともと、保育士として働いていた職員は、知人からの誘いで、南高愛隣会の障がい児支援の仕事を知った。
最初は、
「障がい児支援って、難しそう」
「自分に務まるかな」
と不安を感じていた。しかし、施設見学に行き、実際に多くの子どもたちと触れ合う中で、その気持ちはだんだんと解きほぐされていった。
「あ、こんな感じなんだ」
特に、ダウン症の子どもたちとの関わりが楽しい、と声を弾ませる。
小学生の利用者さんの保護者が迎えに来た。

帰りの1コマ

高校3年生の利用者さんが、小学生の利用者さんの荷物を持ち、ドアの方まで寄り添って歩く。小学生の頃にあった、6年生が1年生のお世話をするような、そんな温かな光景。
~無駄なくリメイク 新しい商品に~

 

7月27日、WORKしまばら研修。

就労継続支援B型のWORKしまばらは、島原地区 の拠点「LOCAL STATION LISE(ローカルステーションライズ)」から一つ道を隔てた反対側にある、まだ建てられて4年の新しい、久遠チョコレートのお店。

店内は、各種様々なチョコレートが円形に並べられていて、明るい、おしゃれな雰囲気。

午前中は、製造されたチョコレートの加工現場(セットアップ)での作業。

このチョコレートは、テリーヌと呼ばれる定番商品。

形が整っていて、中のドライフルーツや黒豆の断面がきれいな方を表にして並べ、袋に入れていく。

「私、苦いチョコ苦手」と笑いながら、チョコを袋に入れている利用者さんは、久遠チョコレートの他にも、農場でトウモロコシ作りを手伝っていて、いつも農場主から褒められている、と嬉しそうに話す。

 

音楽を聴きながら手を動かし、とてもアットホームな雰囲気。

 

それにしても、たくさんの種類のチョコレートがある。

島原のカステラをラスクにしたもの、島原特産の桑茶など、豊富にそろっている。

そのまま入れると、袋にチョコがベタついてしまうため、小さなペーパーで挟んで入れ、後でペーパーを取る。袋が小さいため、手先が器用でない私は一苦労。

チョコを並べる人、クッキングシートで挟む人、袋に入れる人に分かれ、作業を進める。職員は、全部の工程を1人でやり、苦手なことをするよりも、それぞれが得意なことをして、楽しくできたらいい、と語る。

また、別の利用者さんは、袋にシールを貼る。

この道具は、最近、職員が考え出したもの。シールを貼る位置がすぐにわかるように工夫したという。

職員は、こうした道具を作ったり、試行錯誤を繰り返しながら、利用者さんが昨日できなかったことが今日はできた、という時が一番嬉しい、と話す。

そして、今日できたことが、また明日できなくてもいい。それは、できなくても、できなかったということがわかり、確実に進歩しているということだから。

「毎日、毎日、新鮮で楽しいんです。」

 

午後になり、今度はチョコレートの製造現場に。

オープンキッチンになっていて、店内の様子をいつでも見ることができる。お客さんも利用者さんが作っている様子を見ることができる。

特に、バレンタインデーや、ホワイトデーには、たくさんのお客さんで賑わう。

「おいしかったよ」という声がダイレクトに伝わり、利用者さんのモチベーションの向上につながっていく。

 

今から利用者さんたちと一緒に作っていくのは、「でこぼこロッシェ」という商品。

抹茶テリーヌの端切れを溶かして型に入れて、丸い形にする。

スプーンですくって、丸い形にする

全部のチョコレートを型に入れ終わると、

「〇〇さん、10分冷やしてください」と、職員が、タイマー管理が得意な利用者さんに指示する。

溶かして混ぜて、冷やして、簡単な作業であるため、利用者さんも気軽に挑戦できるところが良い。

チョコレートの魅力は、溶かす度に、新しく生まれ変わること。

そうやって無駄なく、何度もリメイクして、一味違った商品がどんどん開発されていく。

職員は、「これくらいでいいいだろう、ではなく、探求心を持って新しいチョコレートをたくさん作り、売り上げを伸ばしていきたい」と力を込める。

このでこぼこロッシェは、ミルクチョコの上にイチゴをかけて2層にし、さらにその上からアーモンドスライスをかけて3層にしている。でこぼこロッシェの中でもかなり人気の高い商品。

食べてみると、ミルクチョコレートの甘さと、イチゴの甘酸っぱさと、アーモンドの香ばしさが口の中に広がって、とてもおいしい。

利用者さんたちも、チョコが好きで、毎月の工賃チョコをとても楽しみにしている。

工賃チョコとは、毎月、工賃と一緒に、商品の端切れや、余った材料で作ったチョコをもらえること。

これも、利用者さんたちが、楽しんで仕事を続けていける秘訣。