私たちの話2021 / 02 / 03

職員座談会 ‐障がい者支援の仕事の魅力ってなんですか?‐

新人からベテランまで、南高愛隣会の様々な分野で活躍する職員の皆さんによる座談会。

それぞれの支援の現場でのエピソードをご紹介します!

※座談会本編は、南高愛隣会採用パンフレットに掲載されています。そちらもぜひご覧ください!

 

【お話を伺った皆さん】

 

 

 

■ 日常の嬉しさ・楽しさをみんなで共有できる。

—障がい者支援の仕事って、あまり日常の中で触れる機会が少なく、イメージしづらい部分もあるかなと思います。皆さんは、このお仕事のどんな点に魅力ややりがいを感じていますか?

平山:魅力ややりがいか…。いっぱいあるなぁ。(笑)

矢野:私はグループホームで利用者さんの日々の生活をサポートしています。だから、ものすごく特別な出来事が多い訳ではなく、本当に日々のちょっとしたできごとや、利用者さんとの何気ない会話の中に楽しさを感じることが多いです。

例えばそうですね…。

毎週日曜日の夕方、テレビアニメの「サザエさん」をみんな楽しみにしています。番組の終わりの次回予告で、サザエさんとじゃんけんするシーンがありますよね。あれがみなさん大好きで大盛り上がりなんです。(笑)

「じゃんけん始まるよー!」って、みんなテレビの前に集まって、勝てば大喜びだし、負けたらしょんぼり。最近、連敗していた利用者さんがいたんですが、この前ようやくサザエさんに勝てて、「矢野さんやっと勝ったー!」本当にうれしそうで。

そんな日常の嬉しさ・楽しさをみんなで共有できる時間が、私はすごく好きなんです。

清水:いいチーム感!

■ 本気で人と向き合う努力を、見てくれている人がいる。

平山:本当に色々な出来事があるけど…、今でも自分の原動力になっている話をします。私が若いころにかかわった利用者Aさんのお母様との話です。

就職して最初の4年間働いていた事業所にAさんがいて、Aさんの支援にも本当一生懸命かかわっていたんですね。その際にもお母さまとも色々なお話をして。

その後、私が異動することになり、Aさんともお母様とも離れることになりました。それから3年くらい経った頃、突然私の職場にAさんのお父様がいらっしゃり、「妻があなたに会いたがっている」とお話されたんです。それには驚きました。

実は、その時Aさんのお母様は、大病を患い、ターミナル期(終末期)を迎えられていたんですね。

病院に伺い、ほんの2~3分程ですがお会いすることができ、「とにかくあなたは頑張りなさい」と一言だけいただくことができました。お母様はその2日後に息を引き取られました。

ほんの2~3分、たった一言だったけど、本当に嬉しかったことを覚えています。まだまだ若くてただただガムシャラに頑張っていただけ。未熟なこともたくさんあったけど、一生懸命やっていたことを見てくれていた人がいたんだな、と。

今でも苦難に陥ってしんどかったり、悩んだりしたときは、この一言がパワーをくれるんです。

矢野:Aさんは今でもお元気に楽しく暮らされています。食べることが大好きで、元気に、いつもお腹を空かせています。(笑)

■ 人生が「幸せ」と思ってもらえる支援をしていきたい。

清水:私は今、罪を犯した障がい者の方々が社会の中で、もう一度やり直していくサポートをしています。そんな中で、やっぱり対象者の方々が「当たり前の幸せ」を感じてくれたと思える瞬間に、やりがいを感じますね。

最近、一番嬉しかったのは、支援に携わっているBさんと一緒にラーメンを食べたときの話です。

Bさんは、刑務所と病院での入院を行き来して、ほぼ社会生活をしたことのない方で、買い物や飲食店での食事も何十年もしておらず、面談の際に「たばこの買い方は?」「すぐに刑務所や病院に戻ることになるのでは。」「このまま入所していた方が安心かもしれない。」など、社会で生活をしていくことにとても不安を抱えている方でした。そんなBさんが地域で少しでも長く安心して暮らしていけるように、生活の基盤を整えていく支援をしていました。

そんなBさんと一緒にラーメンを食べていた時に、Bさんがポツリと「出てこれてよかった」と語ってくれたんですね。それがとても嬉しくって。

好きなものを食べたり、好きなことをしたり…、僕たちが「当たり前」と思って、日々やっていることが、障がいのある方にとっては、決して当たり前ではないことも多いです。社会の中で孤立してしまって、「幸せ」を感じることのできない方もいらっしゃいます。

そんな方々にかかわり、幸せを感じてもらえる、前向きに生きていこうと感じてもらえる、そんな瞬間に、この仕事やっていてよかったなって思います。

まだまだスタートラインに立っただけで、これからが大切なので、これからBさんと一緒に頑張っていこうと思っています。

■ これから先の人生の「幸せ」を、共に描いていく。

松本:みなさんの話を聞いていて、「この仕事やっていてよかったな」って私が思える瞬間って何だろうって考えていたのですが、この仕事を始めたころにあったCさんという利用者さんのことを思い出しました。

Cさんは、今は自立され、南高愛隣会は利用していない方なのですが、その方に本当に鍛えられました。Cさんには、本当にたくさんのニーズがたくさんあって、どうかかわればよいか試行錯誤しながら、かかわり続けていました。

初めて会ってから3年くらい経ち、Cさんがサービスの利用を終え、事業所を離れる際に職員一人ひとりにメッセージをくれたんですね。それぞれに色んなメッセージがあったんですが、私に対しては「何も言うことはないです」という内容でした。

Cさんは寂しがり屋で、人の温もりを求めている方。

そのCさんが、どんな意味で、そのメッセージをくれたか本心は分かりません。でも、「やりきれたのかな」とその言葉がずっと残っています。

Cさんは、今は結婚されて地域で生活されています。ほとんど会う機会はなくなったのですが、時々街中で、笑顔で買い物に向かう自転車に乗ったCさんを見かけることがありました。

その楽しそうな姿を見ると「幸せになったのかな」と思えて、私も嬉しくなりました。

その方の人生の中で、携わった期間は短いけど、その人がこれから生きていく人生が、幸せなものになれるよう、お手伝いができたのであれば、それはとても嬉しいことだなと思います。


暮らす、働く、好きなことを楽しむ、好きな人と過ごす、夢を実現する…。

私たちの人生は、日々のたくさんのできごとや、営み、人とのつながりで形作られていきます。南高愛隣会で働くということは、ただの「支援」ではなく、それぞれのこれから先の人生をよりよいものにするために、人の人生と本気で向き合うということなのではないかと思います。

そんな仕事だからこそ、働く一人ひとりの人生にも、その人自身の「幸せ」へとつながる素敵なエピソードをたくさん届けてくれるのではないか。

お話を伺いながら、そんなことを感じました。

お話してくれた皆さん、ありがとうございました!

※座談会本編は、南高愛隣会採用パンフレットに掲載されています。そちらもぜひご覧ください!