職員紹介2022 / 10 / 20

自分の足で動き、新たな場を開拓   田岡亜佑美さん 「つながる」を支える。

南高愛隣会では、罪に問われた障がい者・高齢者の支援に力を入れています。令和4年10月から、新たに長崎刑務所とのモデル事業が始まることをきっかけに、その窓口となる長崎県地域生活定着支援センターで働く田岡亜佑美さんにお話を伺いました。

 

-南高愛隣会でのこれまでのキャリアと、そして現在の罪に問われた障がい者・高齢者支援に携わることになった理由を教えてください。

入社以来、長崎県地域生活定着支援センターで勤務しています。以前は法務教官として、女子少年院で働いていました。少年院には障がいを持っている人が7割いました。その障がい特性に応じた指導ができず、再犯を繰り返していました。私がやりたい仕事はここではない、と気づき、大学院に入学し、刑事法を学ぶことにしました。大学院の指導教官からの薦めもあり、刑事法と並行して福祉の勉強をし、今に至ります。

 

―現在、主にどのようなお仕事を担当されていますか。

数人の罪に問われた障がい者・高齢者の地域生活を支えるフォローアップ面談の実務とともに、全国地域生活定着支援センター協議会(全定協)の事務局として、定着職員の人材養成研修、社会福祉推進事業の調査・研究に関わっています。

 

-南高愛隣会で働く魅力を教えてください。

以前、少年院で働いていたときは、上下関係が厳しく、何かにつまずいても相談しにくい雰囲気がありましたが、南高愛隣会では、上司との距離が近く、些細な事でもすぐに相談できるところに安心感があります。

この職員紹介の写真も所長に撮っていただきました!

 

―お仕事のやりがいを教えてください。

地域で孤立し、福祉の支援を必要としている人が、周りの支援者につながり、自立に向けた第一歩を踏み出すための手助けができることにやりがいを感じています。主に定着が関わるのは逮捕直後から裁判、出所後なので、本人の生活が落ち着いてくると支援の手を引いていきます。「便りがないのは良い知らせ」です。連絡が来ると、また罪を犯したということが多いので。

―罪を犯した障がい者・高齢者と接する上で、どんなことを大切にしていますか。

対象者には「犯罪者」という先入観をもたずに、まっさらな気持ちで向き合うことを大切にしています。なぜかというと、対象者は生きづらさが偶然積み重なった結果、罪を繰り返してしまっていますが、一人の人間として見たときには何も変わらないからです。

入職当時の上司から「感情記憶を大切に」と教わり、今もいかにその人に良い感情を残せるか、を大切にしています。定着で関わる対象者の多くは、身柄拘束をされていて不安や警戒心を抱きながら目の前に座られています。その時に、「この人には話しても良いかな」と思っていただくことが、福祉に繋がる第一歩になると思っているからです。対象者には体調面などの話をするだけにとどめ、いきなり「どうして罪を犯したのですか」とは聞かず、「不安なことはないですか?」と、少しでも居心地のいい空気感を作れるように、声掛けを行っています。

 

―今後の目標を教えてください。

罪を犯した障がい者・高齢者の地域生活を支えることは、個人や特定の事業所・団体の努力だけではなし得ず、仕組みとしての地域のネットワーク構築が必要であるため、福祉に限らない県内外の多様な機関、地域資源と関わることが多いです。例えば、不動産屋やリサイクルショップとも連携を図っています。本人にとって少しでも「これ、良さそう」と直感がひらめくと、自分の足で動き、新たな場を開拓していく、そういう人でありたいと思います。

モデル事業はまだ始まったばかりで、何もかも手探りです。前例のない事業なので、試行錯誤が必要で、矯正施設側と福祉側で落としどころを見つけて調整していくことが求められると思います。これからも、長崎刑務所としっかりとコミュニケーションをとり、着実に実践を積み重ねていきたいです。

 

―趣味や休日の過ごし方を教えてください。

1か月に1回ほど小浜温泉に行き、リフレッシュしています。温泉に行くと、仕事を頑張ろう、という気持ちになります。

 

―就職活動に取り組む学生にメッセージをお願いします。

私は香川県出身ですが、香川で刑務所出所者を多く雇用している企業の総支配人から「内定は出すから、全国見てきなよ。どれだけ時間かかってもいいから」と、背中を押してもらえたことがきっかけで、長崎に就職しました。自分の思い込みにとらわれず、いろいろな人との出会いを大切にしてほしいと思います。