恋愛・結婚推進室 ぶ~け 職員の “声”
「ふつうの場所で愛する人との暮らし」を応援する取り組みとして続いてきた“ぶ~け”。
利用者さんの出会いから、交際のフォロー、そして暮らしづくりまで――まさに人生の大切な場面に寄り添う活動です。 今回は、そのぶ~けで長年支援を続けてきた 園田美鈴さん に、日々のエピソードや大切にしている想いを楽しくお聞きしました。

園田 美鈴 さん (写真右)
この日は、いつもお世話になっている農家さんから立派なキャベツをいただき、事務所がちょっとした“収穫祭”のような雰囲気に。雲仙拠点「LOCAL STATION LIFE」には、お弁当を製造する就労継続支援A型「味彩花」、グループホーム事務所、ぶ~け事務所など、その名の通り、暮らし・人生にまつわる機能がぎゅっと集まっています。
ー恋愛・パートナー生活支援の現状について教えてください。
ぶ~けを利用する方の中には、「結婚」をゴールにするのではなく、パートナーとして一緒に暮らす関係を望む人も多くいます。 その背景には、法的な手続きのハードル、家族の同意、「名字を変えたくない」という女性の気持ちなど、さまざまな理由があります。 また、恋愛感情は環境の変化によって揺れ動くこともあります。結婚した後でも、「大好きな実家に戻りたい」「(浮気して)新しい人に心が向く」といった気持ちの変化が生まれることもあります。ぶ~けが支援しているのは「結婚」という一つの形だけではなく、その人らしい愛の形や暮らし方を選べるようにすることを大切にしています。
ー子どもを希望される方はいるんですか?
子どもを希望される利用者さんは、まったくいないわけではありません。 ただ、実際に子育てをしている利用者さんの様子や、自分たちの経済状況、ふたりの生活リズムなどを考えるうちに、「今は子どもはいなくてもいいかもしれない」 と気持ちが変わる方が多いのが現状です。本当に子どもを望む場合は、必ず医療機関を受診して、体の状態や薬の影響についてドクターと相談します。 ある利用者さんは、てんかんの強い薬を服用していたため、医師から 「重度の障がいを持つ子どもが生まれる可能性がある」 と説明を受けました。そのうえで、経済的に子育てが可能か、健康面でリスクがないか、ふたりの生活がどう変わるかなどを丁寧に評価し、最終的に 「今回は子どもを持つ選択はしない」 という結論に至りました。ぶ~けでは「子どもを持つかどうか」を一方的に決めるのではなく、 医療・生活・経済の面からしっかり情報を集め、本人たちが納得して選べるように支援しています。
ー安心してパートナー生活を始められるように、どのような準備や学習支援を行っていますか。
ぶ~けでは、パートナーとの暮らしを希望する利用者さんが、安心して関係を築けるように、避妊や性生活に関する学習支援も行っています。現在は「からだ探検隊」での学習に加えて、ぶ~け独自の教材として避妊具を準備しています。パートナーとの生活を始めたいと考えている利用者さんには、個別でレクチャーを行い、実際に練習をしてもらいます。性支援は、本人の望む暮らしを実現するための大事なステップ として位置づけています。
ー今年のぶ~けの取り組みとしても、「高齢者のふれあい・性支援」がテーマだとお聞きしました。具体的にどんな内容ですか?
最近特に、高齢の利用者さんのふれあい支援や性に関するサポートに力を入れています。 高齢の男性は「恋をしたい」という気持ちがあっても、女性側は拒否してしまうことがあります。 その状態が続くと、男性も次第にふれあいを求めなくなり、関係がぎくしゃくしてしまうことがあります。性の話題は日本では苦手とされがちですが、実際にはパートナー関係を続けるうえで欠かせない支援です。 見た目が仲良しでも、ふれあいの問題で悩んでいるケースは少なくありません。だからこそ、今年は 「高齢者のふれあい・性支援」 をテーマに、長崎大学の名誉教授・宮原教授と連携し、より丁寧に取り組んでいく予定です。
ー「高齢者のふれあい・性支援」にはどんな職員が関わりますか?
若手で構成されている「ぶ~け支援委員会」の男性職員には、男性心をわかっているので男性を指導してもらいます。私や他のぶ~け支援委員会の女性職員は女性の方を指導します。また以前、ぶ~け支援委員会に入っていたOB、OG職員にも手伝ってもらっています。OB・OGのバッジもあります。
ーぶ~けの活動の中で、一番楽しいのはどんな活動ですか?
やっぱり披露宴は楽しいです。ドレス選びから一緒にするので、特に楽しいです。自分はもう着れないですけど(笑)、近所のエステに一緒に行ったりなど、人生の節目を一緒に準備できることは、支援者として大きな喜びのひとつです。利用者さんのご家族からは「自分の子どもが結婚式を挙げるなんて、考えたこともなかった」と喜んでいただきました。ただ、利用者さんの中には、結婚式を「人生のピーク」だと感じてしまう方もいます。 目標が達成されて、「もうここでゴールした」と思ってしまう気持ちは理解できます。 でも、結婚式はあくまでスタートであって、その後の暮らしのほうがずっと大切です。だから支援者としては、「結婚式が人生の頂点ではなく、その先に続く暮らしが本番なんだよ」 ということを、ゆっくり丁寧に伝えていく必要があります。
ー恋愛や結婚観、社会のトレンドもどんどん変わってきています。今後のぶ~けでは、どんなことを目指していきたいですか?
ぶ~けが大切にしていきたいのは、利用者さん一人ひとりの暮らしを、医療機関や大学など多様な機関と連携しながら支えていくことです。 最初の出会いの場を作る恋活イベントも大事ですが、それ以上に、日々の相談ごとや生活面のサポート、性に関する悩みなど、「出会いの後の暮らし」をどう支えるかが中心になってきています。出会いのチャンスを作るだけで終わりではなく、 その後の生活、関係づくり、困りごとへの支援まで続けていくのがぶ~けの役割です。結婚や離婚の手続きで市役所に立ち会うこともあり、支援者自身も利用者さんと一緒に人生の節目を経験しているような気持ちになります。 また、婚活イベントのゲームはネタ切れ問題があるため、最近はChatGPTを使って新しい企画を考えるなど、工夫しながら取り組んでいます。
ぶ~けに興味がある方はぜひ、南高愛隣会へ!
