私たちの話2022 / 07 / 22

研修日記 生活介護(TERRACEからふる)・就労支援(WORKながさき)

~ポチ袋作り 何度でも再チャレンジ!~

7月18日、TERRACEからふる研修。

TERRACEからふるは、長崎地区の拠点「LOCAL STATION STELLA (ローカルステーションステラ)」内にある、生活介護の事業所。

STELLAは、坂を上がった住宅地の中にある。昨年、長崎地区の拠点として移転したばかりで、新築ならではの壁の白さが際立つ建物。

からふるには、A部屋と、B部屋の2つがある。A部屋は、高齢者や、室内で静かに過ごしたい人が利用し、B部屋では、元気に動きたい人や、自閉症の人が利用している。

9時を過ぎると、送迎された利用者さんが集まってくる。
STELLAから遠い地域に住む人もいるため、送迎に時間がかかり、早く来た利用者さんは、午前の活動が始まるまでの待ち時間が長い。
私の隣に座っている利用者さんは、両手で、広報誌の紙の束をトントン、と整えている。
紙の順番を変えて、重ねるのが好きで、飽きずにそれを続けている。

A部屋の午前の活動は、ポチ袋作り。
紙の束を重ねるのが好きな利用者さんは、表面のフィルムを剥がした牛乳パックを細くちぎっている。

牛乳パックを細かくちぎる

職員が、細かくちぎった牛乳パックをミキサーにかけて、さらに細かくする。

牛乳パックに赤色の画用紙を混ぜると、赤色のポチ袋ができる

次は、ミキサーで薄い紙切れのようになった牛乳パックをたらいに入れて水と混ぜる。この流し台は、ポチ袋作り専用の流し台。たらいが置けるように、底が深くなっている。

水と混ぜる段階になって、流し台の方にやってきたのは、目をキラキラと輝かせた、高齢の利用者さん。やる気満々で、木の枠を使って、紙をすくい始めた。

すくった紙をタオルにはさみ、棒で伸ばして、水分を抜いていく。

水気が取れると、タオルから紙をペタッと剥がして、クリアファイルに貼り付けて、乾かす。

「〇〇さん、よくできました!すごいです!」明るい職員に励まされ、満面の笑みを浮かべる利用者さん。紙をすくって、乾かす作業を一人で、10回以上繰り返していた。

時折、紙の向きを間違えたり、はがすのを失敗して、紙が破れたり。

そんなときは、職員が「惜しかったですね!」と言いながら、もう一度、たらいの中に戻してやり直し。

ポチ袋作りの利点は、このように何度でもやり直しがきくところ。材料は紙と、水しか使っていないため、失敗しても大丈夫。職員も利用者さんもおおらかな気持ちで再チャレンジできる。

これを乾かすと、素朴で、品のある和紙のようになる。乾かした紙は、別の利用者さんがポチ袋の型紙に切って、折る。

このように、ポチ袋作りには、意外とたくさんの工程がある。そのどれかに、それぞれの利用者さんのやりたいことや、好きなことを選んでもらうことで、皆楽しく活動に取り組むことができる。

完成したポチ袋は、夏とお正月に、利用者さんの家族や、グループホームの世話人などに販売する。

5枚セットで100円。

販売用のポチ袋。折り紙などを貼り付けると、さらに華やかさが加わる。

 

 

~利用者さんの頑張っている姿 嬉しい~

7月19日、WORKながさき研修。

WORKながさきは、長崎地区「LOCAL STATION STELLA (ローカルステーションステラ)」内にある、就労継続支援B型の事業所。

近隣老人ホームの清掃・洗濯、古紙回収のビニール袋折り、久遠チョコレートの製造・販売の主に3つの事業を行っている。昨年の工賃は月2万円で、目標は3万円。

午前は、近隣の老人ホームに清掃と洗濯に行く。

清掃道具を確認する職員(写真左)と利用者

3人で1部屋の掃除をする。2人がベッドメイキングで、もう1人が掃除機をかけて、それぞれ役割を固定している。このホームでは、6部屋を担当している。

次に行ったのは、別の老人ホーム。
同じような部屋がずらりと並んでいて、廊下やエレベーターが至る所にあり、まるで迷路のよう。

1人で行くと、絶対に迷ってしまうほどの建物だったけれど、利用者さんは行き慣れているため、どんどん先を歩いていく。

ここで行うのは、トイレ掃除と、入居者の衣類の洗濯。利用者さんは、てきぱきと慣れた手つきで、数多くあるトイレを掃除していく。例えば、青いタオルは手すり用、紫のタオルは床用、白いタオルは便器用として分けている。

汚れが付かないように、エプロン・帽子でフル装備の利用者さん

 

利用者さんに同行していた職員は、以前、グループホームで勤務していたという。グループホームと比べて、就労では、「利用者さんの頑張っている姿を見ることができるので、うれしい」と話す。

 

午後は、久遠チョコレートの製造の方に参加した。

久遠チョコレートとは、愛知県豊橋市に本社があり、全国展開しているフランチャイズで、長崎と島原では、南高愛隣会が経営している。チョコレートを作っているのは、障がい者や、障がいのある子どもを持つママなど。

STELLAの2階の廊下を曲がると、ガラス越しに、ステンレスの調理台や、大きな冷凍庫が見える部屋がある。ここが、久遠チョコレートの製造現場。

利用者さんは、デニム生地のシャツとエプロンと帽子に身を包み、服のほこりをローラーで取り除き、部屋に入っていく。

冷凍庫の壁には、カカオ、ホワイト、ベリーベリー、抹茶、京番茶、アップルティーなどの商品名や、月の製造一覧表、湿度記録表などの紙が貼ってある。

部屋全体にほんのり甘い、チョコレートの匂いが漂い、わくわくした気持ちになる。

完成したチョコレートの角の固い部分をブラシで取り除く利用者さん。5秒以上持っていたら溶けてしまうため、作業のスピードが速い。

袋閉じをする様子

 

チョコレートの中に入れるクランベリーを小さくほぐしていく。

チョコレートの製造に入って、まだ1年も経っていないという利用者さん(写真左)。チョコ作りが楽しい、と嬉しそうに話す。一番好きな作業は、「ドライフルーツのカット」。

 

チョコレートを溶かす職員。コロンビア54%でほろ苦く、やさしい甘さ。

次はテンパリングしたチョコで、ドライオレンジを半分ほどコーティングしていく(職員:写真右)。

「上下に上下に」

「もう少しトントンって落として」

時折、利用者さんとピンセットを一緒に持ちながら、作業を進める職員。

 

そんな職員は、「利用者さんと関わるのが楽しい」と話す。

途中の10分の休憩時間には、利用者さんの趣味や、家族について、和やかに会話する姿があった。

 

そんなほっこりとした空気感の中で生まれるのは、きっと優しい味のチョコレート。